【SS】4次元ポケット【SF】

私は

2018年12月24日23：08

にあった出来事を忘れない。

「もう寝なさい、明日寝坊するわよ。」

いつもと同じように母の声がする。

「はーい」

と言って布団に潜り込むとドアの隙間から差し込む光に目を細める。

母はここの所夜になるとよく本を読んでいる。

5歳になったが1人で寝るのは少し寂しい。

姉はすでにスースーと寝息を立てている。

でも、夜中の布団の中は私の世界。

おもちゃ箱の中の人形たちは何を話しているんだろう。

寝たふりをしたらフタを開けて動き出すのが見れるかもしれない。

そういえば、明日はクリスマス、誰かが来てパーティをすると言っていた。

おじいちゃんが来たら嬉しい。また肩車をしてもらおう。

朝起きたら枕元にプレゼントがあるはずだ

サンタさんに頼んでいたプレゼントは『四次元ポケット』

お腹につけたらどこでもドアを出して公園に行こう,,,

サンタさんはウチがわかるだろうか。

煙突無いけど大丈夫かな。

毎年来てくれてるし大丈夫だよね。

そんな事を考えながらウトウトしてきた

意識が遠のく中物音に気づく

驚いて目を開き、音のした方にに目をやると

姉の学習机が少し開きぼんやり光っているではないか！

怖い

そう感じた私は布団に潜る。

頭まで布団に入ると暗く、狭く、息苦しい。

ドクドクと自分の心臓の音が聞こえてくるようだ。

緊張から声も出ない

その時

(,,,ありがとう、迎えは明日の15時にお願い)

(うん、喜んでもらえると良いね)

(ありがとう、そっちもね)

と、小さな話声が聞こえる。

私は『サンタさんだ』と小さくつぶやき

少しだけ布団をめくる

ぼんやり光る机を見ていると中から手が伸びてくる

(ん,,,よっこいせ,,,)

暗くてよくわからないが女の人の声だ。

今年のサンタさんは女の人だ！

ドキドキが加速するのがわかる。

(,,,よっ,,,っと)

引き出しから足を出し、イスに足を付く

もう片方の足を出そうとした

瞬間

ローラーの付いたイスが勝手に動き出す

体勢を崩すサンタの女の人。

「んがっ」よくわからない声を発しながら

そのままおもちゃ箱に倒れ込む

ドスン

鈍い音がする。

「あいたたたたた」

悲痛な声を発するサンタさん

同時に

「なに！？今の音！」

と母が部屋に飛び込んでくる。

私は反射的に布団から飛び出し

「違うの！煙突がないから！ウチには煙突がないから！」

とサンタさんと母の間に滑りこむ。

母が電気をつける

「あんた、、、」

母の目からポロポロ涙が溢れ出す。

何が起きたのかわからない私は

ゆっくりとサンタの方を振り返った。

そこには母がいた。

いや、母に似た別の誰かだ。

サンタは目をウルウルさせて

「ママ！」

と言って私に抱きつく

わけがわからずポカンとしていると

サンタは私を抱きしめながらわんわん泣き出した。

10分後、泣き止んだサンタと母、そして私がリビングにある食卓に座る。

長い沈黙の後

「ホントに来たのね」

とあきれ顔の母が切り出す。

「ははは、来ちゃいました」

と頭をかくサンタ姿の女の子は【ミク】

どうやら私の子どもらしい。

ミクの話によると

どうやら彼女は50年後の未来からタイムマシンに乗って来たんだとか。

今から3年後母は大学に通い始め、院に進み博士号を取得

その後25年かかって四次元ポケットを開発。

以前から交流のあった研究仲間とチームを組み

技術を応用してタイムマシンを完成させた。

完成から10年法整備も終わり、タイムマシン計画の始まりである、

2018年9月22日までなら過去に戻っても良いということになった。

「ちょっと待って、なんで今年の9月22日なのよ」

そう聞くと母はしたり顔で

「あんたが四次元ポケットが欲しいなんて言い出すからよ」

と言った。

どうやらそれをTwitterに書いたら「作って戻ってこい」と言った人がいたらしい。

そんなこんなで

2018年12月24日23：08

世界中に夢にまで見たドラえもんの秘密道具が世界中にバラまかれた。

それどころかタイムトラベルの自由化、宇宙人との交流も許可などなど

車が空を飛ぶ日も近いらしい。

 ミクはケーキを食べて夕方引き出しから帰っていった

「また22年後ね！」

と手を振っていたが人生のネタバレは勘弁してもらいたいものだ。

おかげで名前を付けるのに悩まなかったよ

2040年3月9日　産院にて

ってな妄想族の戯言。

Twitterより。